なので”propulsion system”のライブラリなのに全く推進機器でない事に関しては突っ込み無しでお願いします。
因みに、身の回りにあるエアコンの多くは作動流体に空気を用いていないし、膨張機械にタービンも使っていない。揮発性ガスを用いたランキンサイクルのものが一般的な筈。ブレトンサイクル冷房機はというと、飛行機の空調システムによく用いられている。基本原理は同じなのと、相変化が伴わないぶん1段階シンプルなので熱力学サイクルを理解する例題としてはブレトンの方が良の筈。
Brayton冷房サイクル(Fundamentals of Engineering Thermodynamics, Moran & Shapiro)
冷房サイクルは機能だけを一見すると「魔法」のようであり奥が深く、Modelica持ち出さなくても1記事埋まるネタな気がするが、その原理や仕組みに深く触れるのは別の機会にする。本記事では色々遊べる簡易モデルをサクッと作る。
下図が、Modelicaでモデルを組んだもの。定格点(DesignPoint)用モデルで、Compressor、Turbine、熱交換機の特性値は固定。作動流体の流量も機器の作動から決まるのではなく、外部から値を与える。
と、ここで、モデルを読み解ける方なら突っ込みを入れたくなるだろうと思う。先に示したBrayton cycleの概念図と同じではないではないか、と。その通りで、概念図では冷房機の作動流体は外部から吸込み、排気などされず、循環する。これは単なる横着。とにかくブレトン冷房サイクルの動くモデルを作りたかったというだけの理由で、ターボジェットエンジンのモデルを元に循環を省いたものを作成した。循環させないことで「無駄」が生じている筈。後程、循環を加えて一段階複雑にしたモデルも作って違いを見比べると面白いだろう。
インプット:
排熱側(屋外)気温:30 degC
吸熱側(屋内)気温:25 degC
Compressor圧力比:2-7へと徐々に変化させる。(=軸から与える機械仕事を増やしてゆく)
室内側の冷気温度が下がる動きとなる筈だ。
compressorの圧力比
シミュレート結果。
青実線:排熱側(屋外)熱交換機出口の冷房機作動流体温度
赤実線:屋外機が吐き出す空気の温度
緑破線:室内の冷房機が吐き出す空気の温度
紫破線:吸熱側(屋内)熱交換機出口の冷房機作動流体温度
屋内側に、冷房機が吸い込んだ空気より温度が低い空気を作って供給するという機能を果たせている事、現実世界と同様に屋外機が、外気温より遥かに熱い排気を吐き出すという挙動を再現した。
屋内側の冷気と消費パワーを見ると、、、明らかに冷やし過ぎ。Compressorの圧力比を高く設定し過ぎた。また、作動流体質量流量を10kg/s、室内機の吸込み・吐き出し流量を5kg/sと設定しており、家庭用冷房機として使う機器としたら強力・巨大過ぎる冷房機を作ってしまっていることと思う。現実的な機器を模すには値はもっと真面目な設定が必要。
2つのHX(熱交換機)出口のガス温度(実線:外気HX、破線:室内側HX)
消費パワー(負値が消費)
先に述べた通り、今回取り上げなかったが冷房サイクルは面白い。詳細を別の記事でもっと深く取り上げよう。
今回はここまで。以上。
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