最終更新:2023.03.04
記事を通して言いたいこと(結論)
例によって、冒頭で述べておく。
- 高速核分裂反応装置(要は核爆〇)の反応を点対称な球体とみなして1D化した数理モデルの論文を見つけたのを機に,シミュレーションモデルを作成してみた.動作し,定性的な時間応答は元論文に類似したものとなっているものの,定量的には様々乖離がみられるものとなった.恐らく計算に用いた定数/parameterに誤りがある事が疑われる.
モデル化対象(とその周辺について)
高速核分裂発生装置と核分裂連鎖反応
1D反応モデル
元論文では,無垢のコアの反応装置と,タンパーと呼ばれる,中性子反射体を装備した反応装置を装備した2種類が記述されている.本記事では,よりシンプルな全社の無垢のコアによる反応を取り扱う.
*タンパーは核分裂反応が進行し,コアが膨張する前により多くの核反応物質に分裂反応を起こさせるために,中性子を跳ね返し周囲に飛び散らせないようにする役割を担う.これを備えると反応進行速度は遅く,反応持続時間が長くなり,放出できるエネルギが大きくなる.
Parameter/Constants
Variables
Equations
variablesの数と等しい数の方程式(微分方程式含む)
出展: Student-level numerical simulation of conditions inside an exploding fission-bomb core; Bruce Cameron Reed; Department of Physics Alma College, Alma, USA
シミュレーションモデル
Diagram
無し.ソースコード記述のみで作成.
今後,発生熱量を計算するblockコンポーネントを作成する可能性は有り.
Parameter settings
本シミュレーションに用いる各parameterの値を示す.事項の通り,シミュレーションの手量的結果に元論文と大きく異なる所があるのは,これらの設定値に誤りがある可能性が高い.(詳しい方が居れば,コメントかモデルを公開しているgithubのissue discussionを通して指摘/アドバイス頂ければ幸いだ.)
- : 1/(4/3*π*(4.5/100)^3) [1/m3]
- : 180*10^6*1.602176634*10^(-19) [J]
- γ: 1/3 [nond]
- ν: 2.43 [nond]
- : 1.199*10^(-28) [m2]
- : 3.650*10^(-28) [m2]
- : 0.1811*10^6*(6.02214076*10^23)/0.23504393 [1/m3]
- : 4.5/100 [m]
- : 1.4*10^7 [m/s]
モデル情報
シミュレーション実行
Variables
Inputs
今回は時間に応じて変化させるinput無.
Outputs
定性的な時間応答は元論文の記載と類似しているが,例えば反応流量時間のような定量的な結果に大きく異なるものが多数有る.
*ただし,元論文の計算結果はコアにタンパー(中性子反射体)を装備したものであり,無垢なコアのものではない.そのため,無垢コアの計算である本記事での反応は,タンパー付きコアのものよりも反応進行が速く,反応持続時間は短く,放出エネルギが小さくなるのは必然的に小さくなる.
- エネルギ放出(TNT-ton換算)
出展: Student-level numerical simulation of conditions inside an exploding fission-bomb core; Bruce Cameron Reed; Department of Physics Alma College, Alma, USA
- 反応度変数(criticality parameter)
出展: Student-level numerical simulation of conditions inside an exploding fission-bomb core; Bruce Cameron Reed; Department of Physics Alma College, Alma, USA
- 反応度変数 vs. コア半径
出展: Student-level numerical simulation of conditions inside an exploding fission-bomb core; Bruce Cameron Reed; Department of Physics Alma College, Alma, USA
- 核分裂率
出展: Student-level numerical simulation of conditions inside an exploding fission-bomb core; Bruce Cameron Reed; Department of Physics Alma College, Alma, USA
- コア圧力
出展: Student-level numerical simulation of conditions inside an exploding fission-bomb core; Bruce Cameron Reed; Department of Physics Alma College, Alma, USA
後書き・まとめ
毎度通り,ほぼ冒頭の結論の繰り返し.
- 高速核分裂反応装置(要は核爆〇)の反応を点対称な球体とみなして1D化した数理モデルの論文を見つけたのを機に,シミュレーションモデルを作成してみた.動作し,定性的な時間応答は元論文に類似したものとなっているものの,定量的には様々乖離がみられるものとなった.恐らく計算に用いた定数/parameterに誤りがある事が疑われる.
タンパー(中性子反射体)付き反応装置のモデルも作成してみたい.
以上
コメント