- Rankine cycle(発電所で使われる)
- Otto-cycle(ガソリンエンジン)
- Diesel-cycle(ディーゼルエンジン)
- Brayton-cycle(ガスタービン/ジェットエンジン)
で、作動流体を液体のみにするとどうなるのか。「どれだけ熱量投入しても、流体から取出せるpower<=サイクル維持に必要なpower投入であり、動力を取り出すことはできない」となるはず。今回、それをModelicaで再現させようと試みた。
詳細な実施内容の前に結論/言いたい事を先に述べておく。
予想に反して「サイクル維持に必要なpower<流体から取出せるpowerとなり、動力を取り出せる」と言う結果が生じた。何が起きたのか解らない。
である。
では、詳細な解析内容に入っていこう。
先ず、組もうとしているシステム。極力シンプルに抑える。必要なのは、昇圧・流体輸送のポンプ、加熱器、power取り出し用のハイドロモータ、冷却器のみ。冷却器については、ポンプ入口の温度・圧力とハイドロモータ出口の圧力を境界条件として与えれば省略できる。図中に記す通り、ポンプとモータの圧力差が等しく、通過体積流量もほぼ等しいので、加熱器で投入する熱量に関わらずポンプ駆動に必要なpowerより大きいpowerをハイドロモータで取り出すことは出来ない筈。
*密度低下によりハイドロモータの体積流量が増すことは有っても、僅かなものと考えられる。
Modelicaで実装したものが、下図。
作動流体は水。inputが以下:
- ポンプ機械回転数
- 加熱器出口の水温度(伴って、加熱器への投入熱量がoutput)
- ハイドロモータの取り出しpower(伴って、モータ出口比エンンタルピがoutput)
シミュレーション結果は下記のようになった。
- 加熱器出口水温度を上昇させてゆくと、突然、ポンプ駆動powerが激減し、ハイドロモータの取出しpowerを下回る。
- ハイドロモータのΔpの時間変化を観ると、取出しpowerを一定値に保っているに関わらず、ポンプ駆動powerの激減と同じタイミングで激減する。
- ハイドロモータΔpと加熱器出口水温度の相関を見ると、水温度が100degCを超えたところから、Δpが激減する。
- 意図せず気体への相変化をシミュレーションできてしまったかと疑ったが、加熱器出口の水密度を観ると、激減は起きておらず、終始、液相としか考えられない値である。
赤:ポンプ駆動power
青:ハイドロモータからの取出しpower
青:ハイドロモータからの取出しpower
ハイドロポンプΔp
ハイドロモータΔp – 加熱器出口水温度
加熱器出口の水密度
予想外の動きが、加熱器出口温度が100degCを超えたところから起きていることと、気化は起きていないことは確認できたが、それ以上のことが現状不明。気体への相変化はシミュレート出来ないが、沸騰中の2つの相が混ざった状態はシミュレートできている、とかだろうか?水のhs線図を描いて熱サイクルの動きを見るなり、詳しく調べてみる必要がある。もし解る方が居れば、是非ご教授願いたい。
今回使用したモデル:
FluidSystemComponents.HydroThermal.Examples.Test.LiquidPowerGenerator00_01
今回のモデルで使用したライブラリ(ModelicaStandardLibrary以外):
FluidSystemComponents
以上、今回はここまで。
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